世界を股にかける大泥棒たる俺は、時価数億ともされるダイヤを盗みに入った。
ところが展示室は散々に荒らされ、警備員は眠らされてやがる。当然だがダイヤは影も形もない。
汚い仕事ぶりだ。俺はこういう、美学のない輩が大嫌いでな。まったく胸が悪くなるぜ。おまけに獲物を横からかっさらわれたとあっちゃ、名前に傷がつく。次に取るべき行動はすでに決まっていた。
立ち去ろうとした時、警備員が何か握っていることに気づいた。野郎からのメッセージだ。どうやらわざと俺の獲物を狙ったようだな。さらに野郎はダイヤの隠し場所まで書き残してやがる。随分となめられたもんだ。
……野郎、高飛びする気か? だが海外への経路は警察の手が回っている。野郎は国内で隠れているはずだ。
となると、行き着く先は限られる。春にはチューリップで埋め尽くされる、あの場所だ。
どこの誰だか知らないが、一流の泥棒がどういうものかってのをきっちり教えてやるぜ。授業料は、野郎が持っているダイヤだ。
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