俺の家は古いお寺で、親父が住職をやっている。 親父は趣味で妖怪退治を引き受けている変わり者だ。 信じられない話だろうが、蔵には親父が封じた妖怪でいっぱいだ。
親父の留守中に蔵の掃除をしていたら、足下の小箱をひっくり返しちまった。その小箱には妖怪が封じられていたらしく、あっという間に外へ逃げ出しやがった。 親父に知られたら厄介だ、俺まで退治されちまう!俺は親父がつけていた妖怪退治の記録帖を引っ張り出した。 こうなりゃ、あの妖怪を俺が捕まえるしかない!
あの妖怪は昔、どこかの美術館に頼まれて退治したものだという。美術館に飾られていた展示物の一つが妖怪になったのだとか。なら、妖怪は住処だった美術館に戻ったはずだ。
だけど妖怪が一体何なのか、そこが今一つはっきりしない。 小箱には何だか奇妙なことが書いてあるだけだ。
あと気になるのがここだ。 「道に落ちていても決して拾ってはならない。苦しみと死を拾うことになる」
縁起でもないな。ただの物だった頃ならば迷信で済む話だけど、今は違う。相手は妖怪、きっとこの迷信は真実になる。
親父の道楽にこんな形で付き合うことになるとはな。 |