下克上、主君への裏切りが当たり前だった戦国の世にあって、最後まで主君のために戦い続けた一人の武将がいた。
彼が愛用していた鎧兜は幾つかが現存しており、縁のある神社や博物館などに保管されている。
ところがもう一点、まだ誰の手にも渡っていない兜の存在が明らかになった。
その兜は、彼が主君から直接譲り受けた品であり、実際の戦場では一度も身に着けることなく戦乱の世は終わったのだった。
彼は死の間際に「この兜を被って、主君の下へ馳せ参ずる」と言い残していたという。死して尚貫かんとする彼の忠義の証は、今も彼の骸と共に眠っている。
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